IT導入補助金では、インボイス制度等の事業環境変化への対応に加えて、DXや業務効率化等への投資を後押ししています。企業の生産性向上を支援することが目的です。
2022年11月8日(火)に令和4年度第2次補正予算が閣議決定され、2023年の大まかな募集内容が公表されました。IT導入補助金は、国内の中小企業等の生産性向上を目的に、ITツールの導入を支援する制度です。
IT導入補助金では、高い採択率でインボイス対応に活用可能な「デジタル化基盤導入類型」が継続されます。他、補正予算によって拡充される予定です。
◎通常枠 A類型、B類型
ソフトウェア費・クラウド利用料・導入関連費が補助される「通常枠」の「A類型」における補助下限額が従前の30万円から5万円まで引き下げとなります。
「A類型」の補助率は1/2となっていますので、これまでは最低でも60万円以上の投資を行うことが必須となっていました。この変更により、最低10万円以上の投資から申請可能になり、よりれで、より安価なツール等も対象になり利用しやすい制度となりました。
◎通常枠のクラウド利用料の対象期間延長
この「通常枠」の補助対象経費である「クラウド利用料」の期間が1年から2年に伸長されました。中小企業のITソリューションもクラウド型の利用ニーズが高まっていることによる拡充と考えられます。
◎デジタル化基盤導入類型の補助下限額撤廃
2022年に新設された「デジタル化基盤導入枠」の「デジタル化基盤導入類型」における「ECソフト・会計・受発注・決済」に対する補助下限額が撤廃されます。
申請類型は、大きく「通常枠(A類型・B類型)」「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携基盤導入類型)」「セキュリティ対策推進枠」の3つの枠に分かれます。
2023年(令和5年)に募集されるIT導入補助金の申請類型ごとの事業の目的、補助額、補助率、補正予算における拡充内容をみておきましょう。
通常枠
自社の強みや弱み、事業環境などを分析し、直面する経営課題やニーズに即したITツールを導入することで、業務効率化や売上のアップを支援することを目的としています。
導入するITツールの担う業務のプロセス数に応じて「A類型」と「B類型」を使い分けます。
A類型 | B類型 | |
補助額 | 5万円~150万円未満 | 150万円~~450万円未満 |
補助率 | 1/2以内 |
補助率はどちらも1/2ですが、A類型は補助額が30万~150万円未満、B類型は補助額150万~450万円以下という違いがあります。B類型は補助額が大きい分、満たすべき要件が多く、賃上げ目標も必須になっています。
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入枠は、デジタル化基盤導入類型と複数社連携IT導入類型の2つに分かれています。
中小企業等で導入される会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの費用の一部を補助することで、2023年10月から導入されるインボイスへの対応も見据えた企業間取引のデジタル化を支援することを目的としています。
「デジタル化基盤導入類型」に加え、複数社で取り組む「複数社連携IT導入類型」も準備されています。
デジタル化基盤導入類型は、中小企業等で導入される会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトの費用の一部を補助することで、2023年10月から導入されるインボイスへの対応も見据えた企業間取引のデジタル化を支援することを目的とした、企業間取引のデジタル化を進めるための申請類型です。
加えてPC・タブレット等のハードウェア購入費用も補助対象になる、クラウド利用料最大2年分補助など、インボイス制度への対応に活用できる型とされています。
補助額は5万円~50万円以下(補助率3/4)、補助額50万円超~350万円(補助率2/3)となっています。
複数社連携IT導入類型は、複数の中小・小規模事業者が連携してITツール及びハードウェアを導入する取り組みを支援する型です。地域DXの実現といった目的があります。
デジタル化基盤導入類型 | ||||
補助額 | 会計・受発注・決済・ECソフト | PC・タブレット等 | レジ・券売機等 | |
50万円以下 | 50万円超〜350万円 | 〜10万円 | 〜20万円 | |
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 | 1/2以内 |
「複数社連携IT導入類型」の場合「デジタル化基盤導入類型」加え以下の支援が追加されます。
- 消費動向等分析経費:50万円×参画事業者数
(デジタル化基盤導入類型」の経費と合計して3,000万円が補助上限)
- 事務費・専門家費:補助上限200万円
※いずれも補助率は2/3以内です。
セキュリティ対策推進枠
中小企業等がサイバーインシデントにより、事業の継続が困難となる事態の回避とともに、サイバー攻撃被害による生産性を阻害するリスクや供給制約・価格高騰を引き起こす潜在的リスクを低減してもらうことを目的にしています。補助額は5万円〜100万円、補助率は1/2以内となっています。補助対象経費は、サイバーセキュリティサービス利用料(最大2年分)です。
まとめ
IT導入補助金とはどのような補助金なのかを確認できましたでしょうか?令和4年度第2次補正予算事業においてIT導入補助金の申請類型に大きな変更はないものとみられます。高い採択率となるデジタル化基盤導入類型は2022年人気でした。今回、補助下限額が撤廃されたことで、さらに使いやすくなることが予想されます。インボイス制度開始も始まる為、対応をお考えの場合は、IT導入補助金を上手に活用したいです。